悩み・痛みを起点にコンセプトを作る間違い
コンセプト設計やプロモーション設計で、
「ターゲットの悩みや痛みを深掘りしましょう」
「痛みを100個洗い出しましょう」
こんなことを教わったことはありませんか?
実はこれは、致命的な間違いです。
なぜそう言えるのか?
結論から書きます。
悩みや痛みは末端表現にすぎないから
悩みや痛みは、人の内側で起きていることの「末端の表現」にすぎません。
でも、
「いや、検索は悩みや痛みベースで起きるよね?」
という疑問がでるかもしれません。
もっともです。実際に人は悩みの言葉で検索します。
でも、その人が本当に欲しいのは、悩みの解消そのものではありません。その先にある「理想の状態」です。
人の内側では、こういう順番で物事が起きています。
理想・欲求がある → 現実とのギャップが生まれる → ギャップに葛藤する → その葛藤を「悩み」として認識する → 悩みの言葉で検索・行動する
悩みは、この流れの一番最後に出てくる「末端」です。起点ではありません。
つまり、悩みや痛みを深掘りして、それを起点にコンセプトを設計すると、この流れの一番下だけを見て設計していることになります。
水面に浮かんでいる氷山の、見えている部分だけを見ているようなものです。本当に大きいのは、水面下に沈んでいる理想・欲求の部分なのに、です。
悩みや痛みの言葉を拾うとこうなる
最近増えている、求人・採用のコンサルタントを例にします。
悩みの言葉を拾うと、こうなります。
・応募は集まるのに、採用につながらない ・採用できても、すぐ辞めたとクライアントに言われる ・継続契約や単価アップにつながらない
これを深掘りして起点にすると、この「困りごと」をどう解消するか、という発想になります。
でも、この悩みの奥には、その人が本当に望んでいる理想があります。
・応募数だけでなく、採用・定着・戦力化まで支援できる求人コンサルになりたい
・競合がまだ攻略できていない新しい採用施策を武器にしたい
・クライアントから「替えのきかない採用パートナー」として重宝されたい
・継続契約・追加提案・単価アップが自然に決まるようになりたい
・月額10万〜30万円のコンサルフィーを堂々と受け取りたい
・求人コンサルとして、将来食いっぱぐれない安定感を持ちたい

※悩みだけ見ていると本当に欲しいものが見えない
ここまでさかのぼって、初めて見込み客が本当に欲しいものが見えてきます。
悩みだけを見て強い痛みを深掘りだけしていると、人が本当に欲しいものが見えません。
これが、悩み・痛みを起点にしてはいけない理由です。
ただ、これはほんの序章です。
痛み起点で作ると、2つの問題が起きる
スクールでは、よくこう教わります。
「痛みを100個書き出して、最も深い痛みを特定しましょう」
そうやって特定された「最も深い痛み」は、たとえばこういうものです。
「単価アップの商談で言葉が出てこなくなり、結局据え置きで合意してしまった後、車の中で『なんで言えなかったんだ』と自分を責める」
具体的でリアルです。スクールでは「ここまで描けたら刺さる」と評価される類のものです。
でも、この痛みを起点にコンセプトを作ると、2つの問題が起きます。
問題1:刺さる人が、どんどん狭くなる
「単価アップの商談で言葉が出てこなくなる」という、ここまで具体的なシチュエーションに当てはまる人は、思ったほどいません。
似たような不安を持つ人はいても、この描写そのものに該当する人は限られます。
書き手は「リアルだから刺さる」と思って描いています。でも多くの読み手は「いや、自分はそこまでじゃない」と離脱します。
痛みを深く、具体的に描くほど、該当する人がいない市場に向けて発信することになります。
問題2:対症療法的な、しょうもないコンセプトになる
これが一番ヤバい問題です。
「単価アップの商談で言葉が出てこない」という痛みからコンセプトを作ると、こんなものが生まれます。
・クライアントに堂々と単価提示できるマインドセット
・単価アップ商談を成功させる話法
・単価アップ用の提案書テンプレート
※もちろんこれは少し極端な例ですがこんなズレが起きます。
一定数は刺さるかもしれません。
でも、求人コンサルが本当に欲しいのは「単価アップの話法」ではありません。「評価されるコンサルとして、結果が出る武器」です。
痛みからコンセプトを作ると、痛みの表面に対応しただけの「対症療法的」なコンセプトになります。
理想からさかのぼって作るからこそ、本当に欲しいコンセプトになるのです。
スクールや起業塾が教えるコンセプト設計の考え方は「浅い」
ここまで「悩み・痛みを起点にするな」という話をしてきました。
ここで、もう一段深い問題に触れます。
そもそもスクールが教える「コンセプト設計」自体が、浅いところで止まっているという問題です。
スクールが教えるのは「骨格」まで
スクールでは、コンセプトをこう作りましょうと教わります。
・誰に ・何によって ・どうなれる
これ自体は、間違いではありません。コンセプトの「骨格」として、必要なものです。
問題は、スクールがここで止まってしまうことです。
例えば、ゴルフ上達の講座があるとします。この骨格に当てはめると、こうなります。
誰に:100を切れないアマチュアゴルファーに
何によって:私の〇〇メソッドで
どうなれる:3ヶ月で安定して90台が出せるようになる
これを見て、どう思いますか?
おそらく「ふーん」ですよね。
そして、スクールでは、
「痛みをもっと描写したコンセプトにしましょう」
「権威性をもっとコンセプトに入れましょう」
「もっと魅力的なベネフィットにしましょう」
みたいな、しょうもないフィードバックがされます。
そもそも、その考え方が間違っています。
コンセプトの骨格は、これだけ見せられても、欲しくはなったり、特別魅力的に感じるものではないのです。
「ふーん」で終わるものとなるのは仕方ないですし、それでいいんです。
じゃあ、どうするのか?
骨格ができたら次に、設計すべきものが2つあります。
1つ目:興味を引くビッグアイデアを考える
まず、骨格を「興味を引く形」で表現します。これをビッグアイデアと言います。
さきほどのゴルフ講座を、こう表現したらどうでしょう。
「なぜ、片足しかないゴルファーが、 スライスもせず300ヤードを飛ばせるのか?」
思わず「なぜ?」と気になりませんか?
中身は同じ、ゴルフ上達のメソッドです。でも、骨格をそのまま出すか、興味を引く形で表現するかで、反応はまるで変わります。
下手な人は、ここを「最短で90を切る最新ゴルフ上達メソッド」のように書いてしまいます。これでは誰も読みません。
ビッグアイデアは、見込み客に見つけてもらうためのキャッチコピーのアイデア、入り口です。
2つ目:コアコンセプトで教育する
ただ、惹きつけて読ませただけでは、人は買いません。
惹きつけた後に、見込み客を「教育」する必要があります。
具体的には、
・なぜ今までうまくいかなかったのか、その原因の認識を書き換える
・そして、新しい解決策を受け入れてもらう
この教育の流れを設計したものを、コアコンセプトと言います。
コアコンセプトは、さきほど話した「理想と現実のギャップ」から組み立てます。
理想を描き、現実を描き、そのギャップから生まれる葛藤を示し、「なぜそのギャップが埋まらないのか」という原因の認識を書き換える。そうして初めて、見込み客は「この解決策が自分には必要だ」と感じます。
ここまで設計して、初めて「完成」する
整理します。
・コンセプト(骨格):誰に・何によって・どうなれる → これだけでは「ふーん」
・ビッグアイデア(つかみ):骨格を興味を引く形で表現する → 惹きつけて読ませる
・コアコンセプト(心臓部):教育の流れを設計する → 原因認識を書き換え、解決策を受け入れさせる
ここまで設計して、初めて「コンセプト設計」、そして「プロモーション全体の設計」ができたと言えます。
スクールは、一番浅い「骨格」しか教えません。
骨格(コンセプト)の話なのに、興味を引けないとかズレたフィードバックをします。(これはビッグアイデアの役目)
教育の流れの設計(コアコンセプト)ができてないのに、感覚で良さそうなコンセプトと判断したりします。
だから、スクールの教わった通りにコンセプトを作っても、見込み客は、本当に「ふーん」で終わり、反応が出ないのです。
コンセプトを作ったのに売れない。その原因は、あなたの作り方が悪いのではなく、スクールが浅いところまでしか教えていないことにあります。
なお、コアコンセプトの核になる「見込み客の教育」は、多くの人が根本から間違えているポイントです。
これは特典3「見込み客教育の間違い」で詳しく解説します。
ビッグアイデアの作り方は、興味がある人が多ければ、また別の機会にお伝えします。
補足:商品タイプによって、設計は変わる
ここまでの話には、ひとつ前提があります。
それは、商品のタイプによって購買のメカニズムが違う、ということです。大きく3つに分かれます。
タイプ① 緊急解決型(水漏れ修理・スマホ画面割れ・急病など)
「今すぐ、元の状態に戻したい」という商品です。
痛みがすでに顕在化していて、今すぐ行動が必要なので、この場合の商品には痛み・悩み起点でOKです。
タイプ② ニーズ型(日用品・ビールなど、日常に組み込まれているもの)
カテゴリはすでに決まっていて、その中で「どれを選ぶか」が勝負になります。
差別化の軸は世界観・ライフスタイルです。悩み起点ではなく世界観で設計します。
(特典1で触れた、よなよなエールの話がここです)
タイプ③ ウォンツ型(講座・コンサル・コーチング・店舗系の多くなど)
緊急性は高くない、なくても死ぬわけではない、だけど「こうなったらいいな」という理想はある。そういう商品です。
ここまで話してきた「理想と現実のギャップから組む」設計が必要なのは、このタイプ③です。
スクールの間違いは、ここに集約される
スクールやDRM系の教材では、よくこう教えられます。
「いますぐ解決したい、深い痛みを持っている人をイメージしましょう」
「水漏れで床が水浸しの人、溺れて助けを求めている人を思い浮かべて」
これは、タイプ①の売り方です。
確かに、水漏れや急病の人は「今すぐ深い痛みを解決したい」状態にあります。
だから痛み起点が機能する。タイプ①の世界では、この教えは正しいのです。
問題は、この売り方を、講座・コンサルのようなタイプ③にもそのまま当てはめていることです。
具体的に対比すると、こうです。
タイプ①の見込み客:
借金で、今すぐ100万円を作らないとガチでヤバい人(溺れている人)
タイプ③の見込み客:
会社員として安定はあるけど、月100万稼いで自由になりたい人(理想を求めている人)
この2人は、状態が根本的に違います。
なのにスクールは、この2人に同じ売り方を教えています。
「痛みを深掘りしましょう」
「もっと深い痛みを描けば刺さるはず」と。
状態が違う相手に同じ手法を使って、うまくいかないのは当たり前です。
これが、悩み・痛みを起点にコンセプトを作るという間違いの正体です。
まとめ
最後に、ここまでの話をまとめます。
・悩みや痛みは「末端の表現」でしかなく、起点にすると一番下だけを見て設計することになる
・痛み起点で作ると、刺さる人が狭くなり、対症療法的なコンセプトになる
・そもそもスクールが教えるコンセプトは「骨格」止まりで浅い。本当はビッグアイデアとコアコンセプトまで設計して初めて完成する
・講座・コンサル(タイプ③)では、理想と現実のギャップから組む設計が必要
悩み・痛みを起点にすると、すでに痛みを強く自覚している「上澄み層」にしか売れません。だから最初だけ売れて、すぐに頭打ちになります。
理想と現実のギャップから組み立てれば、まだ痛みを自覚していない「日和見層」まで動かせます。
この違いが、安定して売れ続けるかどうかの分かれ目になります。